“成果が見えにくい仕事”をどう評価する?|特徴を成果に変換するマネージャーの役割

マネジメント

マネジメントをしていると、「評価したいのに、どう評価したらいいかわからない」と思うこと、ありませんか?

たとえば――

  • いつも裏方でチームを支えてくれている人
  • 他のメンバーのフォローや雑務を自然にこなしてくれる人
  • 誰よりも丁寧で、真摯に仕事と向き合っている人

こういった“目立たないけど大切な貢献”は、会社の評価制度の中では見えにくいことが多いんですよね。
なぜなら、多くの会社は「数字」や「実績」といった**“目に見える成果”**を評価の軸にしているからです。

「一生懸命頑張っています」だけでは評価しきれない。
評価者としても、「気持ちは分かるけど、査定には反映できない」という場面に何度も直面してきました。

では、そんな“成果が見えにくい仕事”を、マネージャーはどう評価すればいいのでしょうか?

今回は、マネージャーの視点から“特徴を成果に変える方法”を、実体験ベースでお伝えします。


「気づく」ことがすべての出発点

まず一番大切なのは、マネージャー自身が“その人の強み”に気づくことです。

評価制度で拾えない部分は、実は一緒に働いているマネージャーしか分からないことがほとんど。

たとえば――

  • Slackのコメントがいつも気が利いている
  • 会議中にこぼれ落ちた話をすかさず拾ってくれる
  • 新人が不安そうな時に自然と声をかけてくれる

こういった動きって、資料にも議事録にも残らないけれど、チームにとってすごく重要な「潤滑油」だったりします。

だから私は、日常のちょっとした場面にこそ目を光らせておくようにしていました。

雑談、チャット、ミーティングの発言、会議後のフォローアップ…。
日々の“行動の積み重ね”から、その人の特徴や良さを見つけていく。

気づいたらその場で言葉にして伝えるのも忘れません。

「○○さん、今の対応すごく助かった」
「それ、実はチームにとってめちゃくちゃ大事な動きだよ」

このひと言が、本人にとっての“自分の強み”への気づきにもつながります。


評価できないままでは終わらせない。「業務に変換する視点」

ただ、「すごいね」で終わってしまうと、その特性は評価にはつながりません。

マネージャーの本当の仕事は、その特性を“業務として成果につながる形”に変えることです。

たとえばこんなふうに。


✅ 顧客との関係構築が得意な人

Before: 丁寧なやりとりで信頼されやすいけど、定量的な成果が見えない
After:

  • 顧客満足度アンケートで高評価を獲得
  • 対応品質の好事例として、社内に共有
  • 他のメンバーへのロールプレイ指導役を担い、品質全体の底上げに貢献

✅ 情報整理・資料作成が得意な人

Before: ミーティング資料や議事録が毎回丁寧。でも評価対象になりづらい
After:

  • 営業資料・説明資料の構成改善に関与
  • 社内勉強会用の資料テンプレートを整備し、全社共有へ
  • 資料作成スキルを活かし、外部提案用資料を改善 → 受注率アップに貢献

✅ コミュニケーションが得意な人

Before: 雰囲気づくりや、チーム内の潤滑油的存在
After:

  • 新人の育成係に任命し、オンボーディング効率を改善
  • 部署横断PJの調整役として起用し、プロジェクト推進力に貢献
  • 他部署との連携業務を任せ、外との接点を活かした業務改善を実現

こういった「役割のリデザイン」こそ、マネージャーの腕の見せどころ。

その人の特徴が活かせるように、業務や役割を少し変えてみる。
“成果が見える形”にチューニングしていく。

これを根気よく続けることで、評価できるようになるし、本人の成長にもつながっていきます。


本人に“気づかせる”こともマネージャーの大事な役割

見えにくい仕事を評価につなげるには、本人にも「自分の強み」「それがどう活きているか」を認識してもらうことが必要です。

私はよく、こんなふうに話していました。

「○○さんのその対応、誰でもできることじゃないよ」
「実は、そこができるから今こうやってみんなが安心して動けてるんだよ」

その上で、

「その強みを活かして、次はこういう役割を任せてみたい」
「これをやったら、ちゃんと成果として伝えられるし、評価にも繋がるよ」

と、「強み → 役割 → 成果」の流れを見せることを意識していました。

人って、自分の良さには意外と無自覚なんですよね。
だからこそ、気づかせ、言葉にして伝え、次に進める手助けをする。

それが、評価に繋がる道筋を一緒に歩くということだと思っています。


「特徴を見抜き、成果へ導く」ことがマネージャーの醍醐味

マネジメントの面白さは、“表には見えにくい能力”を見抜いて、それを活かすことだと私は思っています。

評価制度にハマらないからって見過ごすのは、あまりにもったいない。

むしろ、そういう部分に気づいて成果に変えていける人が、チームを底上げしてくれる存在です。

マネージャーとして、その芽に気づけるか。
そして、どう伸ばし、どう活かしていくか。

目立つ成果だけじゃなく、目立たない努力にも価値を見出せる目線を持つことが、これからのマネジメントに求められていると思います。


おわりに|「評価されにくい人」に光を当てるのが、マネージャーの仕事

「見えにくい仕事」は、評価しづらいかもしれない。
でも、それを見て、拾って、引き上げていくのがマネージャーの仕事です。

  • 「あなたのその特性、すごく助かってる」
  • 「だからこそ、こういう仕事を任せたい」
  • 「これを成果にして、評価につなげていこう」

そんな風に声をかけて、一緒に道を作っていけたら。
評価されにくい努力も、ちゃんと報われるチームになっていくと思っています。

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